量子コンピュータとは

以前の日記でP≠NP予想について解説しました】が、最後に少しだけ量子コンピュータについて触れました。今日はそのお話を。

現在のコンピュータはどうやって計算しているか?という事から話が始まります。Windowsをお使いの方だと「32ビット版」「64ビット版」という単語を聞いた事があるのではないでしょうか。実際にはLinuxでも32ビット版、64ビット版があるのですが。

1ビットとは「0または1を現す単位」です。ここに電球が1個ある状況を思い浮かべていただければ良いのですが、電球が消灯しているならば0、電球が点灯しているならば1を表すとしましょう。

1ビット、すなわち1個の電球ならば「点いているか」「消えているか」だけで話が終わってしまって面白くありません。そこでもう一個電球を追加して2ビットにしてみましょう。そして、電球が点いている状態を□、電球が消えている状態を■で表す事にします。

最初は全ての電球が消えている状態とします。

■■

これはすなわち二進数の00、十進数(我々が1~10で物を数えるアレ)の0を現します。ここで1個の電球を点灯させてみると

■□

二進数の01、十進数の1を現す状態に変化しました。実はこれ

(二進数)00+01=01
(十進数)0+1=1

という演算(足し算)を実施した事になるのです。

では、右の電球を消して、左の電球を付けるとどうなるか?■□が□■に変化した事になりますが

(二進数)01+01=10
(十進数)1+1=2

という演算(足し算)を実施した事になるのです。二進数は1個の電球だと0か1しか表現できませんでしたが、2個に増やした事で桁上がりを表現できるようになりました。

ここでは足し算だけを考えましたが、同じように電球を点灯させる・消灯させる仕組みを上手く作れば引き算や掛け算、割り算、さらにはもっと難しい計算もさせる事ができます。



32ビット版とは、物凄くザックリ言えば32個の電球が点灯したり消えたりを超高速で繰り返しながら計算を行っているという事になるのです。64ビット版ならば64個の電球です。

一体これでどれだけの情報量を扱えるのか?を計算してみると…

32ビット版の場合は2×2×…×2(←2を32回掛ける)=4,294,967,296
64ビット版の場合は2×2×…×2(←2を64回掛ける)=18,446,744,073,709,551,616

という恐ろしい量になります。32ビット版と64ビット版でもこれだけの違いが出てきますから、32ビット版で手に負えない問題でも64ビット版、さらに(現在は存在しませんが)もっと沢山の桁数を扱えるコンピュータが出てくれば問題を解決できそうに思えます。



しかし、計算機科学の本当の恐ろしさはここからです。何とこれだけ多数の情報が扱えるコンピュータを用いても、さらに桁数の多いコンピュータを作れたとしても【以前の日記で紹介したNP問題】を解くのに数千年、ヘタをするとさらなる時間を費やしても解けない問題という物があるのです。どれだけ多数の場合を考えないといけないのか…と気が遠くなります。

ここで発想の転換が出てきました。100%点いた・0%消えたで表現している電球だと限界があるけれど(2個の電球ならば4通り)、明るさ100%・90%・80%…20%・10%・0%という10段階を 同時に 表現できるLED電球を使えばどうなるか?

「は?LED電球でも各段階を同時に表現できないじゃん!」とお思いかもしれませんが、ここではそのような都合の良い事ができる魔法のLED電球があると思ってください。どうしても納得できない方は、LED電球は知覚できないほど物凄い高速に100%~0%の10段階の表現を切り替えていると思っていただいても結構です。

そのような魔法のLED電球が2個あった時、同時に10×10=100通りを表現できるのです。2個の電球だった4通りに比べると圧倒的に情報量が多いですね。

さらにLED電球の段階を1%刻みに細かくできたとすると100×100=10,000通り!13個の電球を使った時が8,192通り、14個の電球を使った場合は16,384通りなので、1%刻みのLED電球2個分≒電球13.3個分と言えます。

LED電球64個を使って計算ができたら、通常の電球を使った場合に比べてどれだけ計算が早くなるか?驚くべき事に、通常の電球を使うと数千年かかる問題が数十秒で解けてしまったりするのです!



既にお分かりかもしれませんが、このように「0または1だけではなく、中間値も使って一気に大量の計算ができるコンピュータ」こそが量子コンピュータなのです。

「何故このような中間の曖昧な状態を考えられるのか?」は、量子力学という物理学の分野です。量子力学はこれまた色々と面白い話(某ケンシ●ウのように「お前はもう死んでいる」状態(本当は少し語弊があるのですが…)が考えられたり、SFのようなパラレルワールドが大真面目に考えられたり…)が出てくるのですが、これらはまた日を改めて。
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